2017年7月28日金曜日

ITスキャンダルとスウェーデン政府内閣改造

 スウェーデンに戻ってきて、こちらで大騒ぎになっていたのが、国の交通局(とでも訳せばよいのかしら)そこが、起こした個人情報漏洩スキャンダル。簡単に簡単に事の流れを話すと、

 スウェーデンでは、車のナンバーとか免許などを管理している交通局は、仕事がすでにアウトソーシングされていて、その中でもITシステムを請け負っていた会社から、情報が漏れたというもの。国民の運転免許に関する情報もアクセスが可能だったそうで、私のような一般市民ならまだしも、特別な理由で個人情報を隠している人などは、気が気ではありません。そして、軍の機密事項も漏れていたとのこと。これもまた、長らく戦争をしていない国であっても、大問題です。どこに軍の車両があり、誰が運転できて、などといったことまで、ほかの国に知られることは、国としてあるまじきことです。

 このスキャンダル、腑に落ちないのが、関係者のうちで発覚してからすでに1年以上たっていること。人が行うことですし、何かしら間違いが起きても仕方がないとしても1年以上もたっているのは問題で、この事実を首相が知ったのが遅いことが問題となり、野党側が関係した3大臣に対して不信任案をだすと発表しました。これに答えるように行われたのが今回の内閣改造です。

 辞任したのが、インフラ担当大臣、アンナ・ヨーワンソンと、内務大臣、アンデッシュ・イーゲマン。防衛大臣のペーテル・フルトクヴィストは辞任しなかったために、野党側が反発を示しましたが、世論は彼の在任を望んでいるようです。


 代わりに就任したのは、現法務大臣モルガン・ヨーワンソンが内務大臣を兼任することになり、仕事量が増えるということで、彼が担当していた移民関係のものを移民大臣を置くことにして、ヘレーネ・フリッツソンが就任。インフラ担当大臣には、トーマス・エネロートが就任しました。この内閣改造では、保険・社会問題大臣には新たにアニカ・ストランドヘルが就任したのですが、理由は、前の医療保険スポーツ担当大臣、ガブリエル・ヴィークストロームが燃え尽き症候群のために病気休暇を取っており、辞任を表明したためとありました。

 
 野党側の発表からあわただしい動きをした内閣は翌日の10時に記者会見をすると発表しました。どんな発表が出されるのか憶測がかなり流れ、様々なシナリオが描かれていましたが、結局、スウェーデン政府が取った結論は、できる限り政治的混乱を避けるというスウェーデン伝統のもので、その結論は、多くの人々の称賛をうけました。日本のイメージといっても、10年以上住んでいない私が持っているイメージですが、こういった場合の流れでは、内閣総辞職で解散とか想像していましたが、知人たちとの話ではおそらくあり得ないと。歴史的にもない話だそうで、ヨーロッパの北の小国は、政治がいかに動くかによって国民に与える影響を考えると、できるかぎり、政治的混乱をさける報告に動くのでしょう。現在のように、与党、野党ともに過半数議席を取得していないと、国を動かす政治的責任が様々な方向におよび、簡単にはいかないというのも理解できました。それでも、理解しにくいところも多いのですが、この国にはこの国のやり方があるのだろうと思います。

 
 この内閣改造発表により、多少落ち着いたかのように見えるこのスキャンダル。今後、詳しい調査結果などが発表されてくると思うので、防衛大臣に対する不信任とともに、目を離せないなあと感じています。日本では、稲田防衛大臣が辞任し、民進党の蓮舫代表が辞任をしました。久しぶりに、両国の政治についていろいろと考えさせられた1日でした。


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