2017年4月10日月曜日

スウェーデンの学校教育の歴史に触れる展示

 スウェーデンの学校教育に興味がある方にオススメの展示が、ストックホルムのミュージアム島、ユールゴーデンにある、Prins Eugens Waldemarsudde museumで行われています。先日、日本週間に参加してくださった方と一緒に見に行くことができました。思っていた以上に見応えのある展示で、とても楽しかったのです。残念ながら、展示は、ほぼスウェーデン語でしたので、多少なりともスウェーデン語がわかった方が、楽しいかなと思います。
 「En sagolik skola - Folkskolan 175 år (素晴らしい学校ー国民学校175年」と名付けられた展示は、今年、スウェーデンのすべての子どもが無料で学校に通うことが決まり、国民学校が創設されてから175年たったことを記念して、教員組合(Lärarförbundetの方)と先生の財団が協力して開催しているものです。ストックホルムを皮切りにスウェーデン全土で今後、順番に展示が巡回して行くことになっています。ストックホルムは、5月21日までの開催で、その後、カルマル、クリスティアンスタード、マルメ、ウーメオー、ファールン、カールスタッド、エステルスンドと2019年8月まで開催されます。
 Prins Eugens Waldemarsudde美術館は、ストックホルムにある美術館の中でも、最も美しい美術館のうちの一つに挙げられる美術館で建物を見るだけでも楽しいです。今回もテーマ展示が複数行われおり、学校教育の展示は、本館の2階にありました。映像でスウェーデンの教育の歴史を振り返った後に展示を見て行きました。展示会場は、たいへん多くの人々で賑わっており、おそらく先生をしているか、学校教育に関わっている人、関わって来た人が多いなという印象を受けました。

175年前に国民学校が始まった頃の様子がまとめられていました。当時は教会と深く結びつきがあり、教科書には聖書も使われていたとあります。体罰が行われていたことを示す展示もありました。教師の数が足らず、午前と午後に分かれていたり、上級生が下級生の面倒を見るグループなどがあった時代もあったとありました。

砂のノート。砂に字を書いて練習し、消しては使いました。順番に、スウェーデンの学校教育がどのように民主主義の道を辿って来たか、学校教育の歴史、教師や子どもたちの当時の様子などが展示されていました。
 

重要な教育者として、もちろん、エレン・ケイについてもありました。教室の中の様子も再現してありました。今回の展示のユニークなところは、本、物語がその中心となっているところです。スウェーデンの有名な画家や作家が学校教育にいかに関わって来たかが展示してあります。今のようにインターネットで映像や写真を簡単に見せることができなかった時代には、挿絵や展示用の絵は、子供たちの興味を誘い、理解を深める上で重要な役割をしていました。スウェーデンの有名な画家、カール・ラーションやエリザ・ベスコフも教科書の挿絵を描いた画家の一人です。

「ニルスの不思議な旅」を書いて、ノーベル文学賞を受賞した、セルマ・ラーゲローブについてももちろんありました。彼女はもともと教師で、子供たちにスウェーデンの地理を興味深く学ばせる教材を作って欲しいという声に答えて、「ニルスの不思議な旅」を書きました。物語を書くのは大変だったようで、そのことも書かれていました。

歴代の教科書なども展示されています。

スウェーデンの教育に興味のある方や、カールラーションなどの絵画に興味のある方にオススメの展示です。お時間許せば、ぜひ、足を運んで見て下さい。

最後におまけで、一緒に行った方と笑った絵を。
「おっちょこちょいなりさちゃん」と「しっかり者のロッタちゃん」
笑えました。


Prins Eugens Waldemarsudde (プリンス エウフェーン ヴァルデマルスウッデ)美術館
住所:Prins Eugens väg 6, Djurgården, Stockholm
アクセス方法:トラム7番、Waldemarsudde駅下車、徒歩5分ほど
開館時間:火曜ー日曜 11時から17時、木曜日は20時まで、月曜閉館
イースターの間は時間が変則なのでホームページで確認を。


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