2016年7月20日水曜日

ストレス軽減を目的とした新しいスウェーデンの労働環境法

増加の一途をたどるストレスによる病休」と「病気でも仕事をするスウェーデン人増加中」の続きです。2016年3月に施行された新しい労働環境に関する法律があります。この法律ができるぞ、できたぞっという時は、私の職場でも話題になりました。今までよりも、雇用主の義務が厳しくなるので、管理職は不安そうだったし、職員は、ストレスフルな労働環境に対する文句が溜まっていたので、今だという感じでした。


 どんな新しい決まりができたかというと、

  • 仕事の責任や量に関して:雇用主は仕事内容とそれに対する条件を整えることと。例えば、仕事の量を減らす、優先順位を変える、仕事の内容に変化をつける、人員を増やす。
  • 労働時間:雇用主は、仕事の計画段階で健康に影響を与えないように配慮しなければならない。休養/回復の可能性を含んだものとする必要がある。
  • いじめ:雇用主は、職場での差別的、虐待的な行為を許さないことを明確にし、揉め事やいじめなどが起きないように対策をしなければならない。

というものです。スウェーデンには、こうした労働環境に関する文書が80ほどあり、その中の一つになります。ストレスによって病休を取る人が増え、特に長期で取る人が増え、その経済的なコストが政府の予算を圧迫してきているために、雇用主がもっと責任を持って対策を打たないと、長期病気休暇の際の雇用主の負担も増やすぞと半ば脅しをかけながらの今に至ります。


 この法律が学校関係で、どのように影響を与えるかというと、学校は毎年度生徒が変わるし、労働の条件が変わってくるので、上記の項目を一度見直したらおしまいというわけではなく、常に見直していく必要性があるとあります。雇用主に対する義務が明確になったわけですが、もちろん働いている人々にも不満や心配ごとを感じた時に上に伝える必要があるともあります。相互関係が重要ですし、学校などは上は現場の状況を逐一知ることはできないので、何かあれば、伝えることが重要であると思います。

 こういった法律によって、どのくらい職場が改善されるものか興味があります。確かに組合関係の人は上に強く言う場面はありますが、どのくらい効果を発揮するんだろうかと。今回の記事では、違反の場合については書かれていないので、今まで通り、労働環境の問題は労働環境局に訴え、その後罰金という形になるのだと思います。病気休暇は、個人にとって辛いものであるし、社会にとっても負担が多いので、その原因が職場のストレスであるのならば、こういった法律によって改善の方向が見られるといいなと思います。今後、おそらく、今まで以上に雇用主の責任が問われるようになるだろうから、予防や対策を立てることは重要であると思います。


読んだ記事:"Stress ska minskas med nya regler," Lärarnas tidning, Nr 3, 2016

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