2014年12月6日土曜日

スウェーデンの再選挙が教育に与える影響

忙しさも増してくる12月。病気休暇や介護休暇がとれて、お給料もそれなりに保障されるこの国では、この時期、学校職員不足でてんてこまい。。。学期末のうえに、この2週間に、ノーベルパーティー、ルシア祭、クリスマスマーケットと行事が続くうちの学校では、みんな疲れでぴりぴりしています。おお・・・金曜日には、電車と地下鉄を乗り継いで、マクドナルドに生徒を連れて出かけましたが、アクシデント続出で胃炎になるかとおもいました。無事に週末になってよかったです。
 
 そんな中、私は密かに水曜日、どうなるだろうかと気になっていました。もともと、このブログでも選挙の話を書いたときにしたとおり、予算が通らない限り、現政府はうまくいかないと思っていたので、スウェーデンの再選挙の流れは、予想通りでした。テレビのニュースで「再選挙に本当になると思わなかった。」というのを聞いて、「ヘェ〜」と思ったくらいです。また、「こういった状況は、他の国ではよくある」という話をしていて、「その通り」だと思いました。このちょっと前に、日本の衆議院解散、選挙という話をニュースで知り、「またか」と思ってしまった私には、スウェーデンという国の政治がいかにある意味安定したものだったかと思いました。新聞でも、スウェーデンの政治がいよいよEU諸国の政治に似てきたともありました。

 選挙に関して思うところはたくさんありますが、ここでは、この再選挙がスウェーデンの教育に与える影響について書きたいと思います。この再選挙の報道があった翌日に職員会議があり、早速話題になっていました。 
 今回通った予算案からみていくと、再選挙でどの政党が政権握っても、多少修正が可能ではありますが、そのまま有効になります。これにより、現政府が公約としてあげた学校関連の投入予算が変わってきます。それほど差がないと言えども、通過したアリアンセンと呼ばれる野党4政党の学校関連の予算は、現政府の予算よりも少なかったので、すでに不安の声が聞こえます。
 現政府の予算が特に投入される予定だったのが、成人教育、生徒の成績が伸びていない学校に対する特別金、幼稚園に対する調査の3項目とありました。与党と野党の予算での差額は5億と新聞でも大した差がないとはありますが、それでも、最終的に学校に入ってくるお金には差が出てきます。ニュースでは、マルメにある学校の校長先生が、生徒の成績が伸び悩んでる学校に対する特別金を受ける予定だったようで、インタビューで不安を訴えていました。また、大学関連もこれらの影響を強く受けますし、学校検査局もどの程度の予算が投入されるのか先行き不透明で政府の判断待ちのようです。コミューンの予算運営で成り立っている一般の学校で、生徒の成績が伸び悩んでいる学校に対する支援対象になっていない学校に関しては、今回の予算によりものすごく大きな変化はおきないと予想されます。教員の給与をあげると約束をしていましたが、実際の予算上の計算では、約800クローネの増額といわれていたので、がっくりきた反面、今回予算が通らなくても大きく問題になるということがないようで、今のところ目立って聞こえてきません。

 再選挙により、どの政党が政権を握るかによって変わってくるのが、教員の増員と教師という職業のイメージアップに関わった政策になるかなと思います。現政府は、低学年の教員増を公約に上げており、確か予算にもあげたんじゃないかと思うのですが、再選挙により政権が変わる、もしくは、連立体制が変わるなどということがあると、おそらくこの案は無くなるでしょう。もともと、教員免許をもった教員不足が今後一層深刻になるスウェーデンで、この案に関しては、あまり意味がないと言われており、しかも多くの研究結果が教員増が一概に成績を伸ばすとはだしておらず、おそらくお流れかも。この部分がうちの学校のようにコミューンの低学年の小学校とくっついていると話題に上がっていました。

 もう一つが、文部科学大臣に当たる教育関係の大臣をだしている環境党を中心に言われている教師という職業のイメージアップに関して。教師の給料をあげ、教師を魅力的な仕事とし、教員になりたい人を今後増やしていくという案がありましたが、こちらもどの政党が政権を握るかで、内容が大きく変わる可能性があります。おそらく、今度の再選挙でも学校関連の内容は大きな分野になり、政党が力を入れてくるだろうと思うのですが、前回の選挙と内容がものすごく変わる可能性は少ないように思います。

 職場で再選挙の話しをすると、けっこう、みんな「選挙疲れ」をしていることに驚きました。確かにEU選挙もいれると再選挙は短期間に3回目になるので、真剣にどこに投票しようかと考えるとなると、なかなか大変なのだろうと思います。再選挙では、おそらく学校も重要ではあるけど、それ以上に移民政策が取り上げられると予想され、いったいどうなるのか大変興味があります。とりあえず、あと2週間、行事に加えて会議と仕事山済みなので、一つ一つ片付けて、がんばります。みなさんも良い週末を!

2014年10月6日月曜日

教員免許のない先生が教える国、スウェーデン

久しぶりの更新です。1週間なんてあっという間という感じで、毎日が過ぎていっています。ここ数日、めっきり暗くなったなあと感じるスウェーデン。私も同僚達も、あくびがよく出たり、疲れ気味だったり、身体の不調の出やすい時期です。

 先週だったと思うのですが、スウェーデンの学校局が教員免許の有無に関するレポート発表しました。スウェーデン、予想以上にひどい状況です。日本では考えられないことですが、スウェーデンでは、教員免許を持たない教員が教鞭をとっています。現場では、実力があればいいのではないかというような声も聞こえますが、私は、どんな職業にもプロ意識というのは重要であり、きちんと教員養成課程を経て教員になり、教員免許を有した上で、教育を行うというのは基本中の基本だと思います。なので、今のスウェーデンの状況、本当に心配なんですよね。何か本当に手だてをうたないと、未来を担う子ども達を育てる教師がいなくなると。

 どんな状況か数字で見てみていきます。この数字は、学校局が何人教員がいて、そのうち何人が免許保有者かを調べたものです。
教員免許を有しない教員の割合
  • スウェーデン全国:32,7%
  • ストックホルムレーン(県レベル):38,3%
  • ヨーテボリコミューン(市レベル):35,2%
  • マルメコミューン        :35,6%
ストックホルムレーンの中でも教員免許保持者率が低いコミューン
  • ソデタリエ(Södertälje)コミューン:49,9%
  • スンドビーバリイ(Sundbyberg):49,1%
  • ボートシリカ(Botkyrka):47,8%
  • ソルナ(Solna):45.3%
  • シグチューナ(Sigtuna):45.3%
高校の教員免許保有者率:52% *職業科目の教師は免許がなくても教えられることになっているために保有者率が下がる傾向にあります。
就学前クラス(6歳児クラス)の免許保有者率:65%

 教員免許制が導入されるにあたり、免許を持っていない教師、もしくは免許を持っていない教科を教えている有資格者に対して、免許取得の援助がされてきました。しかし、この援助が十分なものではなく、多くの教員が免許を取得しないまま現在に至っています。外国の教員養成課程を出た人に対するコースもありますし、特別支援教育に関するものもありますし、今まで働いて来た人々を優遇するコースもありますが、どれも、経済的な部分での援助がいまいちであり、特にその部分は各コミューンにまかされているために、コミューンや人によって大きな差があり、文句や批判を多く聞きました。そんななので、あまり効果があがっていない結果がここにも現れています。また、教員免許を有する教員の教職離れも問題になっています。10人に4人が教職を離れて別の仕事についているということで、免許所有者が教師として働いていない現状も問題があります。加えて教員になりたい人も少ないんですよね。。。

 それにしても、30%を超える教員が免許を有していないというのは多いと思うのですが。せめて、大学で関連した内容を学んだ人であってほしいと思うのですが、全く関係のない分野の人が行っているとなると、スウェーデンの教育の低迷も何となく理解ができてしまったり。私が悲しいなあと思うのが、教育を学んだもの同士だからこそできる議論ができないことです。教育に長く携わっていればできることもあるとは思うけれど、やはり教育を学んだものだからこそできる話があるように思います。そういう議論がなく学校運営が行われるのは、何か欠如するようにも思います。

 今回の結果を受けて、新聞でもニュースでも話題になり、国が何かしらの対策をうつようにしなければならないとあります。金曜日には、新内閣が発表されました。こういった学校関係の大臣は、予想通りのこのかたでした。
(環境党の広報の写真より)
グスタフ・フリドリーン(Gustav Fridolin)、環境党の党代表をでもある31歳。私は、娘さんが生まれたときに、ちゃんと育児休暇を取ったことにも好感をもったし、国民大学で教えていたという経歴にも興味を持ちました。19歳という若さで国会入りをした彼、若い頃から政治に関わって来ており、教育にもそれなりに関わって来た若手のホープ、どのようにスウェーデンの教育を采配していくのか楽しみです。ただ、1万クローネ教員のお給料あげるといったけど、実際の財政で賄えるのは2000クローネまでだったということが選挙論争でばれたし、環境党という右でも左でもない党で、不安定な連立政権では、どこまで何ができるのか本当に腕の見せ所だと思います。
 読んだ新聞の記事:S vill kraftsamla mot lärarbristen, DN, 20140926

2014年8月10日日曜日

スウェーデンの学校給食

長かった夏の休暇も今日が最後です。去年は主人が夏に休暇を取らなかったことに加えて、前の犬を亡くして寂しかったのですが、今年は、本当に楽しい夏休みでした。新しい挑戦に加えて学期早々大きな出来事のある今年度ですが、日々努力を重ねていければと思います。

 新年度にあたり、今日は、スウェーデンの学校給食について。ちょっと前に学校給食に関して質問を受けたのですが、そういえば、そんな新聞の記事があったとごそごそ。。。
 スウェーデンの学校給食は、2011年までたいした規定はなく、あった規定は一つ、無料であることでした。無料であるということは、とても重要で、スウェーデンの学校では、お弁当をもってきてくださいと簡単にいうことができません。学校によって多少差がありますが、学期に1、2度まで、限度額も決まっている場合が多く、私たち教員には、持ってこない/持ってこられない子どものために何かしらを用意しておく必要があります。そんな学校給食ですが、2011年からはもう少し規定が増えました。どんな規定かというと、

  • 学校給食は、栄養のあるものであること
ちょっと、まってくれと思った方、そうです、この規定はなかったんです。2011年7月1日からは、学校給食は無料かつ栄養のあるものでないといけなくなり、その栄養のある給食に規定は次の通り。
  • 脂肪分の質
  • 繊維と全粒穀物の量
  • ビタミンD
 この4項目が栄養の判断の基準となります。もちろん、学校で出される給食は、安全なものであり、食品をしっかりとした衛生管理の中で扱うといったような決まりはあります。

ストックホルムの学校の給食がどんな感じか調べた新聞の記事には、「良い」の判定を付ける基準を、以下のようにもう少し具体的にもうけています。
  • 2種類以上のメニュー
  • 週に4から5日、ベジタリアン/菜食のメニューがある
  • 水、牛乳、パン、バター、サラダのバイキングがある
  • 甘い飲み物やアイスクリームは、週1回以下
この基準でみていくと、ストックホルムの学校のうち、69%の学校がおそらく基準を満たしていないということでした。いろいろ問題のあると言われているスウェーデンの学校給食、やっぱり、そうなんだなと裏付ける結果になっています。
ただ、新聞の記事の中では、スウェーデンで食品衛生を扱っている省庁、Livsmedelsverketと見解の差があると書かれています。特に脂質の質や量に関してあるようです。また、ビタミンDが学校給食では十分にとれていないようですねえ。

何よりも、おそらく問題なのが、どんな給食を出しても、食べない子どもがいることともあります。こればっかりは、もっと別のところからせめていかないといけない問題のようにも思います。食育という言葉が日本ではやりましたが、食べるということに関して勉強する機会を多く持つことにより、学校給食の改善とともに、子ども達の食に対する意識を変えていく必要があるのではないかと思います。

子ども達の新学期開始は、8月20日前後に集中しています。子ども達の夏休みももう少しになりました。また、元気な子ども達の登校する姿が見られるかと思うと、これもまた楽しい毎日であります。

読んだ新聞の記事:Livsmedelsverket har en rigid inställning, DN, 20140130

2014年7月28日月曜日

質低下が危惧されるスウェーデンの学童保育

楽しい時間はあっという間に過ぎて、主人は仕事の戻り、私の夏の休暇も残り2週間となりました。やりたいことリスト、やっておくといいことリストがまったくといっていいほど消化されておらず、ちょっと焦っております。この2週間で、秋学期の準備と引き受けてある仕事を片付け、家の掃除を少しできたらと思っているところです。
 スウェーデンは共働きが基本なので、多くの子どもが6歳児教育が始まり学校教育に関わるようになると、学童保育にも通います。ほとんどの場合、学校が併設して学童を持っているので、というか、学校が同じ組織内で学童を運営しているので、子どもはそのまま学校に残っている形になります。その昔は、学童はもっと学童として個別に運営されていた時代もあるようですが、今ではすっかり学校教育に組織上は吸収されており、学童の先生は、日中は学校教育に何らかの形で関わっている場合が多くあります。これに関して、学童の先生側からは、不満の声も聞こえますし、学童の質の低下も叫ばれるようになりました。
 スウェーデンの学童の先生方は、「Fritidspedagog」という「学童の先生」の資格があり、大学で、120ポイントから180ポイント(フルタイムの学生で1年半くらい)勉強します。最初は免許が出なかった学童の先生ですが、現在は、教師と同じように免許が出ます。私の印象としては、見た目の仕事や周りからの話で感じる学童の先生の立場は、大学での勉強からするとかなり低いように思います。残念なことですが、子どものおもりをしている人たちと言う印象があるように感じます。

 そのためかどうかわからないのですが、
  • 学童の先生一人あたりの子どもの数がかなり増えている
  • 資格のない学童の先生が増えている
と新聞にありました。1990年には、学童で働く大人一人あたりの子どもの数は、7.5人だったのにたいして、2014年には12.9人と5人も増えています。パーセンテージにして、34%増だということで、かなり増えています。スウェーデンで学童に通う6歳から12歳の子どもは、42万5900人ほど。1グループの子どもの数は、40人前後となっています。学童によっては、100人を1グループで見ているところも。
資格のない学童の先生も増えており、大学で学んだ学童の先生の割合は、統計ととり始めて最低の56%になっています。さらに問題なのが、民営(私立)の学童で、資格を持った先生の割合は29%。

1グループの数が40人やそれ以上の数で、資格を持たない先生たちが、学童を運営しているというのは、危険であると私は思います。スウェーデンの場合、学童保育は自由保育に近い形で、屋外もしくは屋内で自由に遊ぶ場合が多く、けがや事故の危険もあれば、いじめの危険も多くあります。学校教育に学童が統合され、組織的には運営はしやすくなったかもしれませんが、学童本来の目的や運営などは陰に隠れてしまったようにも思います。

スウェーデンの子ども達の夏休みは、10週間程あります。その間、ずっと親が面倒を見れる場合は少なく、多くの子どもが学童保育に通います。子ども達が楽しい時間を過ごせるように、がんばっている学童の先生はたくさんいると思いますが、公立が民営か、地域や学校などなどによって、かなりその質に差があることが気になります。今後、このあたり、改善されればと思います。

読んだ新聞の記事:Eleverna i kläm när fritids prioriteras bort, DN, 20140403

2014年6月20日金曜日

「カナヅチ」という概念のないスウェーデン

スウェーデンの学校教育で体育は、「Idrott och hälsa(運動と健康)」といいます。この体育の成績で不可を出さないように、ABCDEの5段階評価のうちEの評価でいいので修めようと思うと、いくつかできないといけないことがあります。その中の一つが、
最低でも、平泳ぎで200メートル、背泳ぎで50メートル泳げること
というのがあります。ちょっと驚きました、私。スウェーデンは、湖などで泳ぐ習慣があり、毎年夏には溺れてなくなる人がいるため、子どもが「泳げるようになること」はとても重要です。でも、人間って、誰でも泳げるんだろうか。日本で育った私は、「カナヅチ」という言葉があることを知っているので、同じような言葉があるのか考えてみたけど、今のところスウェーデン語では見つかっていません。このブログを読んでいる方で、「知ってるよー。」という方がいらしたら、是非、コメントください!
泳げない人がいてもおかしくないと思うんですよね。私は。。。こういう成績の評価基準を設けるのって、ちょっと難しいのではないかと思ってしまうのです。。。

そんなことに関する新聞記事がでていました。ストックホルムの6年生から9年生の生徒のうち、875人の生徒が、泳げないことによって、体育の成績が出ない可能性があるとのことでした。このうち、9年生の生徒は、卒業に際しての最終成績が出ないので、かなり問題です。
そこで、ストックホルムでは、昨年夏休みになると同時にスイミングスクールを開催しました。67人が参加し、そのうち26人が200メートル泳げるようになり、19人が25メートル以上、45人が25メートル泳げるようになりました。この良い結果をもとに、ストックホルムでは泳げない生徒を対象にしたスイミングスクールを今年も開催しています。875人のうち、このスイミングスクールに参加するのは、400名ほど。昨年に比べるとかなり増えており、400名の参加者の多くは、9年生だそうです。スイミングスクールは、1日80分。参加は無料。ストックホルム市内のいくつかのプールで開催されます。ちなみに参加できるのは、(ストックホルム市内の公立学校に通っている生徒です。)

こうした泳げない生徒の中には、移民の背景を持った生徒たちが多いと聞きます。うちのコミューンでも、泳げない子どもは、早くから週に1回のある水泳の練習に参加します。スウェーデンでは、夏になると近くの湖で泳いだり、別荘のそばの湖で泳いだりして、小さい頃から水に親しむ習慣があります。こういった習慣のない国から移民でやってきたり、親が移民であったりする場合は、泳ぎを習うのが遅かったり、もしくは文化的に水着で男女ともに泳ぐことがしにくかったりします。
それでも、スウェーデンでは、「泳げない」ことは、「生死に関わる問題」として、必ず泳げるように子どもをすることになっています。
泳げないよりは、泳げた方がいいと私も思います。私は、夏でも滅多に湖では泳がないのですが、(ただ、単に水が冷たいとおもうからなのですが)スウェーデンでは、よく泳ぐので重要だと思います。教育はやっぱり、その社会や文化に根付いたものなんだなあと改めて思います。
読んだ新聞記事:Simskola ska rädda barnens slutbetyg 20140609

2014年6月19日木曜日

学校に満足している生徒と満足していない先生

先日の新聞に、スウェーデンの学校に関する新しいレポートが出ていました。それによると、スウェーデンは、学校に満足している生徒が他国に比べると多く、これに反して、満足していない先生も多いとあります。今回のレポートは、1995年からスウェーデンが関わってきた、40ほどの国際的な調査を比較した結果をまとめたものだそうです。

 この結果で特徴的だったのが、中学2年生の3人に2人が「友達から嫌な目にあったことは、まったくない、ほとんどない」と答えたことでした。これは、他の国と比べると、かなり高い数字だそうです。これに対して、クラスでの規律はスウェーデンはかなり低いとありました。

 これに加えて、先生たちの労働環境に対する意識では、先生という仕事に満足している教師は30%以下、「あまり満足していない」と先生は10%以上。45カ国を比べると、スウェーデンの教員よりも自分の仕事に満足していない国は、フランスのみ。
 
 教室の規律はあまりなく、教員が苦労していて、自分の仕事に満足していないと、生徒は満足するのか?!というのは冗談で、生徒の満足感は、スウェーデンの学校にある差別やいじめに対するプランなどがそれなりに機能して成果を上げているためかと思いました。また、教員の不満足は、ここ数年言われ続けている学校に対する不満と不信が関係しているようにも思います。ここまでメデイアでいろいろ取り上げられれば、なかなか自分の仕事は素晴らしいと誇らしげに思うことはできないのではないかと。

 スウェーデン、学校に対する生徒の満足度は、比較的良い印象があります。フィンランドは、逆なんですよね。けっこう、生徒が学校を嫌っているという話を聞きます。生徒も教師も満足して、生徒がしっかり学べる学校教育ってあるんでしょうか。不思議です。

2014年2月16日日曜日

問題のある生徒を救う携帯やパソコン

その昔、日本人補習学校で努めていたときに、そこで学ぶ子どもたちを見ながら、日本語の文章はパソコンで書ければいいんじゃないかと思っていました。日本を離れて10年以上になり、私の日本語はかなり怪しくなりました。こうしてブログを書いたり、ちょこちょこと書かせていただいている観光ガイドを書いたりしなかったら、私の日本語力は、とうの昔に地に落ちていただろうと思います。そんな私を救ったのは、やはり、パソコンなどの技術です。

 今日の新聞をちらちらっとめくっていて、こういった様々な技術が問題のある子どもたちを救っているいう結果が出ていました。時間の管理や記憶、注意力に多少問題のある生徒が、パソコンやスマートフォンなどのカレンダー機能や文章を読み取る昨日のあるマウスといった技術の利用を促した結果、欠席率が減り、73%の生徒の成績が良くなったという結果が出たそうです。この調査には、不安定な体に対する援助としてボールの入ったマットみたいなものも用いられたそうです。写真を探したのですが、見つからなかったので、説明を少しすると、ボールが入った布団みたいなのがあり、多くの自閉症の方などが夜寝るときなどに使用しています。不安定さを和らげるために、普通の布団よりも多少重みがあるほうがよいとされ、効果があります。ボールよりも重いものとなると、鎖の入ったものもあり、うちの生徒でも使用している子がいます。
 この調査で使われたのは、そういったボールの布団の小さいタイプで、膝掛けくらいの形のものではないかと想像しています。値段は高いのですが、前々から、うちの学校にあればと思うのがこちら。
 同じような考えで、座るとちょうど肩とおなかのあたりにちょっと重さのあるカバーをして座ることで、不安定な気持ちを和らげ、体を落ち着かせる効果があります。こういった補助器具を他のものと同様に使用したそうです。

 障がいを持たない子どもが、早期にこういった様々な支援技術によって、少し問題がある程度の頃に手だてをうつというのは重要であるように思います。今後、より多くの研究がされることによって、多くの子どもたちが早期に様々な支援機器を使用できるようになればよいと思うばかりです。

2014年1月10日金曜日

スウェーデンの義務教育が10年になるかも?!

年が明けて、選挙を意識した各政党の動きが見られ、教育関係のニュースも飛び交っている、ここスウェーデン。今日はその中から、現政府が出してきた義務教育を10年にするという案について書こうと思います。

 現在のスウェーデンの義務教育は、基本が9年です。小学校1年生の前に、就学前クラスという6歳児クラスがあります。この6歳児クラスが、現在は義務ではなく、このクラスを義務化するというのが今回の提案です。この案の陰にはもちろん、PISAの学力到達度テストの結果が良くなく、OECD加盟34カ国の中で最も伸びが悪かったというのが大きな要因であるのは、明白です。あの結果に、やはり政府の焦りが見えます。詳しいPISAの学力到達度テストの記事はこちらを。
 なぜ、基本9年と書いたかというと、特別支援学校の中でも特別学校とされる学校は9年生の後にもう1年、10年生をとることが可能なので、既に10年の学校形態もあるからです。ちなみに、全ての特別支援学校の生徒に10年生が保障されていたのに、3年ほど前にその制度がなくなり、現在は9年になっています。この1年大きかったんですよね。なくなったときはものすごく残念に思いました。
 
 現在のスウェーデンの6歳児教育は、国内の6歳児のほぼ全員、統計で最後に見たときは、97、8%の子どもが通っていましたので、生徒側から見ると義務化に関しては、それほどかわりはありません。選挙という面で見てみても、この6歳児教育の義務化は既に社会民主労働党や環境党が早くから掲げていた内容なので、新しいという案でもなく、私の印象も「この制度化は固いかな」というものでした。
 もともとスウェーデンの学校教育システムの中でこの6歳児教育は中途半端な位置にあり、批判が大きかったのも事実です。例えば、よくいわれるのは、カリキュラム。幼稚園のカリキュラムがあり、小学校のカリキュラムがしっかり出ているのに、6歳児教育のカリキュラムはちょっと中途半端なんですよね。その上、幼稚園を卒園して学校の中にある6歳児教育のクラスに入ると新しい先生になり、多くの場合はその後1年生になると新しい先生になります。これには、教員の免許なども関わってきているのですが、この先生の変更に関しても、批判が多く出ています。どうせ学校の敷地にあり、同じ組織内で動いている6歳児教育ならばしっかり義務教育化して1年生にしてしまったほうがいいという声が今までもなかった訳ではありません。
 じゃあ、今回の義務化はすんなり行くだろうというと、そうは問屋がおろさないといった所でしょう。基本的にこの提案は前向きに受け取られているという印象を受けますし、今までの流れをみても、順当だと感じます。組合も前向きな意見を出しました。問題は、こういった改革にはやはりお金がかかるということと人材です。就学前クラスは、幼稚園の延長であり小学校ではないので、基本的に幼稚園教諭が教えることになっています。内容も幼稚園よりで遊びの中で学ぶという学校への橋渡し的な役割をしており、このクラスが小学校1年生になったら、小学校教諭か幼稚園教諭のどちらが受け持つのかという問題があります。提案では、小学校の区分が1年生から4年生(現在の就学前クラスから3年生)が低学年区分になるので、小学校の先生というのがいいのかなとも思います。スウェーデンの教員免許のシステムは時代によって変わっていて、その免許にもよるとはおもいます。という問題が一つ。どちらにしても教員の研修も必要になりますし、様々な調整も必要です。変更時期は未定ですが、選挙後の次の4年のうちには行うということだったので、今までの学校改革に加えてこの改革を行うことに抵抗を感じる人がいてもおかしくありません。そして、なんといっても、教員不足という問題が。。。教員が大量に定年の時期を迎えているスウェーデンでは、今後ものすごい数の教員が不足すると予想されており、かなりの危機感を持って報道されています。この教員不足についてはまた改めて書くとして、おそらく制度化されると思うこの10年生化。どんな風になるのかなと興味津々です。
 特別支援学校に限れば、重度の子どもの場合は、6歳児クラスへの受け入れが難しいという現実があり、多くの場合は、幼稚園に1年余分にいくか、小学校に1年早く入ってくるかで、ケースバイケースになっています。この辺りは、スウェーデンの良いところで、子どもの障がいの程度や家庭環境などなどにあわせて選べるというのはいいなと思っています。